沈黙の春

「沈黙の春」は言う。

「沈黙の春」は言う。ただ自然の秩序をかきみだすのではない。いままでにない新しい力・・・質の違う暴力で自然が破壊されていく。ここ二五年の動きを見れば、そう言わざるをえない。たとえば、自然の汚染。空気、大地、河川、海洋、すべておそろしい、死そのものにつながる毒に汚れている。そして、たいていもう二度ときれいにならない。食物、ねぐら、生活環境などの外の世界が汚れているばかりではない。禍のもとは、すでに生物の細胞組織そのものにひそんでいく。もはやもとへもどせない。汚染といえば放射能を考えるが、化学薬品は、放射能にまさるとも劣らぬ禍をもたらし、万象そのもの・・・生命の核そのものを変えようとしている。核実験で空中にまいあがったストロンチウム90は、やがて雨やホコリにまじって降下し、土壌に入り込み、草や穀物に付着し、そのうち人体の骨に入りこんで、その人間が死ぬまでついて回る。だが、化学薬品もそれに劣らぬ禍をもたらすのだ。畑、森林、庭園に撒き散らされた化学薬品は、放射能と、同じようにいつまでも消え去らず、やがて生物の体内に入って、中毒と死の連鎖を引き起こしていく。また、こんな不思議な事もある・・・土壌深くしみこんだ化学薬品は地下水によって遠く運ばれていきやがて地表に姿をあらわすと、空気と日光の作用をうけ、新しく姿をかえて、植物を滅ぼし、家畜を病気にし、きれいな水と思って使っている人間のからだを知らぬ間にむしばむ。アルベルト・シュヴァイツァーは言う・・・《人間自身がつくり出した悪魔がいつか手におえないべつのものに姿を変えてしまった。》

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